O氏の治療歴, そして今これから。その34

分子標的治療薬のローブレナに耐性が発現したので、それまでの1年7ヶ月はありがとねー、さよならー。で、再びアレセンサよ、こんにちわ。O氏共々よろしくお願いします、という推移に伴って、S君はコンピューターとにらめっこ。この治療薬に関しての作用も副作用も、あらゆるリサーチが嫌になってしまい、(前にも調べていたしなあ)気分を変えて、日本語の闘病ブロッガーさんの中からアレセンサ治療をされている方のブログをいくつか見つけた。

ありがたい。全く!有り難い。これらの生身の肉声とも言える治療中の皆さんの一文字一文字が、数時間かけたリサーチより文献より、的確に、このアレセンサとは何か、アレセンサ治療によってどうなってきているか、を伝えてくれる。

1月29日からの新治療スタートで、2月6日は1週間目の検診。どこまでO氏は血を抜き取られるんだろう、血液検査とはいえ半端な量じゃない。ところでO氏の両足がつる、というのはむくみ防止の薬の副作用というのがわかった。2倍に増やしたし。ので、カリウム(ポタシウム)をしっかり食物から得ること。化学反応っていうことですね。

それと、、、2月4日に肝臓の専門医からのコメントをいただく。すでにこれまでの腹腔穿刺やスキャンでおぼろげながら判明はしていたが、O氏の腹膜一面にガンさんたちが広がっていると。門脈圧亢進でもなければ肝硬変でもない、と。これまでも、疑わしきということで間断なく検査を受け続け、その都度病名やら原因やらも変化しているので、返ってホッとする。絶え間ない嘔吐も倦怠感も、たっぷんたっぷんの腹水もいよいよ痩せてゆくのも、このようにはびこり始めた彼等が大暴れしていたからなのね。わかった。

その理由が、ローブレナに耐性ができ、もはやこの新薬では戦えない、ので、はびこってしまった、のね。わかった。治療法はほぼ見当たらない。多分、あのキモセラピーを再開か?とにかく、お腹に水を溜めないことが重要だそうで、そのためには定期的に抜く手術をする、(回数が増すごとに危険領域に近ずく)或いは、いつでもどこでも溜まって来たら自分自身で抜くために、お腹に穴を開けたままにしてキャップのようなものをはめる。それを外して水抜きをする、って。もっとも、自分で行うため、全責任を自分で負う。失敗やら感染率が一気に高まる。。。

,,, 私たちの身体は途方も無い数量の細胞で形成されている、それら細胞の電気的反応が神経回路を伝って、脳という司令塔にゆくのだけれど、では脳が一番かということでもなく、全てが関連しあって働いている、ので、『私』とか『貴方』という現象も、突き詰めれば、どこの細胞がそのように認識してあたかも、私=自分=存在、と断言できるのか?という究極の疑問が生じてくる ,,,

般若心経を改めて学び始めてきているS君。本当に少しずつなのだけれど、S君とO氏の関係も変わってきている。O氏が主治医を信じて治療を続行、なので邪魔しない。O氏の細胞の化学反応をS君は注意深く見ることと、限りなく治療に効くと思われる食事・料理担当に徹する。これからはしばらく、流動食を中心にする。

二人とも、もう、驚くほど欲がない。でも、つい先日S君はO氏に尋ねた;これだけは絶対やらねばならぬって何かある?この人にはもう一度会いたい、とか、なんでも良いからやり残しのないように、Oちゃんの希望を聞かせて? O氏曰く『ミシガン時代からの作品、ことに線描ドローイング全てをスキャンしてファイルにして、本にまとめたい』って。オーケー、了解。まだまだ二人三脚でやろうねー。いやいや、ひとり二脚になったとしても。。。

補足ながら、2月6日の血液検査の結果は、驚きの水準を跳び越える肝臓値。AST, ALT, はずっと標準内だったのがぐんと高く、ALPに至っては、一昨年の危篤状態の数値を上回っている。 Albumin とBillilbin はかなり減少している。今回の主治医との話し合いは、緊急にMRI で肝臓とその周囲を調べよう、と。故に、病院を移動、待つこと数時間。

2月7日、画像解析の結果を電話で知らされる。肝臓の腫瘍がこぼれ落ちて(?)腹腔に流れ込んだガンさん達より他、致命的症状は見当たらないらしい。懸念されていたO氏の肝臓そのものは変わらずの腫瘍以外は大丈夫。故に、パクリタキセル療法(キモセラピー)に戻る、と提案された。はい、わかりました。ありがとうございます。

〜〜〜〜 続く