

分子標的治療薬のローブレナに耐性が発現したので、それまでの1年7ヶ月はありがとねー、さよならー。で、再びアレセンサよ、こんにちわ。O氏共々よろしくお願いします、という推移に伴って、S君はコンピューターとにらめっこ。この治療薬に関しての作用も副作用も、あらゆるリサーチが嫌になってしまい、(前にも調べていたしなあ)気分を変えて、日本語の闘病ブロッガーさんの中からアレセンサ治療をされている方のブログをいくつか見つけた。
ありがたい。全く!有り難い。これらの生身の肉声とも言える治療中の皆さんの一文字一文字が、数時間かけたリサーチより文献より、的確に、このアレセンサとは何か、アレセンサ治療によってどうなってきているか、を伝えてくれる。
1月29日からの新治療スタートで、2月6日は1週間目の検診。どこまでO氏は血を抜き取られるんだろう、血液検査とはいえ半端な量じゃない。ところでO氏の両足がつる、というのはむくみ防止の薬の副作用というのがわかった。2倍に増やしたし。ので、カリウム(ポタシウム)をしっかり食物から得ること。化学反応っていうことですね。
それと、、、2月4日に肝臓の専門医からのコメントをいただく。すでにこれまでの腹腔穿刺やスキャンでおぼろげながら判明はしていたが、O氏の腹膜一面にガンさんたちが広がっていると。門脈圧亢進でもなければ肝硬変でもない、と。これまでも、疑わしきということで間断なく検査を受け続け、その都度病名やら原因やらも変化しているので、返ってホッとする。絶え間ない嘔吐も倦怠感も、たっぷんたっぷんの腹水もいよいよ痩せてゆくのも、このようにはびこり始めた彼等が大暴れしていたからなのね。わかった。
その理由が、ローブレナに耐性ができ、もはやこの新薬では戦えない、ので、はびこってしまった、のね。わかった。治療法はほぼ見当たらない。多分、あのキモセラピーを再開か?とにかく、お腹に水を溜めないことが重要だそうで、そのためには定期的に抜く手術をする、(回数が増すごとに危険領域に近ずく)或いは、いつでもどこでも溜まって来たら自分自身で抜くために、お腹に穴を開けたままにしてキャップのようなものをはめる。それを外して水抜きをする、って。もっとも、自分で行うため、全責任を自分で負う。失敗やら感染率が一気に高まる。。。
,,, 私たちの身体は途方も無い数量の細胞で形成されている、それら細胞の電気的反応が神経回路を伝って、脳という司令塔にゆくのだけれど、では脳が一番かということでもなく、全てが関連しあって働いている、ので、『私』とか『貴方』という現象も、突き詰めれば、どこの細胞がそのように認識してあたかも、私=自分=存在、と断言できるのか?という究極の疑問が生じてくる ,,,
般若心経を改めて学び始めてきているS君。本当に少しずつなのだけれど、S君とO氏の関係も変わってきている。O氏が主治医を信じて治療を続行、なので邪魔しない。O氏の細胞の化学反応をS君は注意深く見ることと、限りなく治療に効くと思われる食事・料理担当に徹する。これからはしばらく、流動食を中心にする。
二人とも、もう、驚くほど欲がない。でも、つい先日S君はO氏に尋ねた;これだけは絶対やらねばならぬって何かある?この人にはもう一度会いたい、とか、なんでも良いからやり残しのないように、Oちゃんの希望を聞かせて? O氏曰く『ミシガン時代からの作品、ことに線描ドローイング全てをスキャンしてファイルにして、本にまとめたい』って。オーケー、了解。まだまだ二人三脚でやろうねー。いやいや、ひとり二脚になったとしても。。。
補足ながら、2月6日の血液検査の結果は、驚きの水準を跳び越える肝臓値。AST, ALT, はずっと標準内だったのがぐんと高く、ALPに至っては、一昨年の危篤状態の数値を上回っている。 Albumin とBillilbin はかなり減少している。今回の主治医との話し合いは、緊急にMRI で肝臓とその周囲を調べよう、と。故に、病院を移動、待つこと数時間。
2月7日、画像解析の結果を電話で知らされる。肝臓の腫瘍がこぼれ落ちて(?)腹腔に流れ込んだガンさん達より他、致命的症状は見当たらないらしい。懸念されていたO氏の肝臓そのものは変わらずの腫瘍以外は大丈夫。故に、パクリタキセル療法(キモセラピー)に戻る、と提案された。はい、わかりました。ありがとうございます。
〜〜〜〜 続く
この、長引く引っ越し騒動で一体、私は何を学んでいるのか?再度、この国の成り立ち、その原点に戻らねばならない。大抵の場合、低所得者や移民達 vs 悪どい大家とのいざこざが絶えず、ニューヨーク市はいわば移民や部屋の借り主を守るための移民法(や、テナント法)を作った。弱い立場の人々を保護するためである。
少しずつ時代も変わり、アパートやハウスの借り主(店子)もサバイバルゲームを開始した。同時に、悪どい大家と弱者の店子、というパターンも崩れてきている。弱者のはずの借り主が、部屋やフロアを分割してルームメイトを募るケースも激増し、(これはケースバイケースで、大家が了承すれば問題はさほど生じない)借り主はルームメイトを入れることで自分自身の家賃を浮かせる、または差し引き少額は手に残る、というメリットがある。同様にルームメイト側も、高いレントそのものを払わずとも、キッチンやバス、トイレットは共同で使用するにせよ、自分の空間・ベッドサイズの部屋、をある程度の賃貸料金で確保できるわけなので、どちらにとってもメリットがある。
それでもなお、借り主にとって、毎月のレント・家賃の支払い・場所代は頭痛い。大抵が、家賃のために家賃を払うという(当たり前と思われる?!)義務に支配され、自らの時間を金で換算せねばならない。
ニューヨークの庶民はこんなふうに、いわば、、助け合っている。俯瞰した視座からは、もちろん、持つ者と持たざる者、資本主義やら政治や経済機構のおぞましい階層が見えているけれど。
話は戻るが、大家であれ、借り主がルームメイトを探すであれ、入居者のバックチェックは重要事案。お金はいくら銀行にあるのか?クレジットカード歴はクリーンか?仕事先や毎月の収入は?加えて、ここに移る前に住んでいたアパートなりなんなりの大家からのコメント、刑事訴訟歴、諸々。
しかしながら、オレオレ詐欺やマルチ商法が今もイーメイルや電話で後を絶たないように、このバックチェックも、確実ではなさそうだ。コロっと騙される。ただ、これも一般的なステレオタイプ思考回路に過ぎず、私たちは心眼を持って、心を開いて、物事の現象の本質をきっちり見極める必要がある。
私自身が今に至るも基本はサバイバー(と、サイボーグ)婆や。安穏とした優雅な日常を送っているわけでないとはいえ、ボチボチやってきている。強制立ち退きは何処でもゴロゴロ起きている、けれど、まさかそれが私たちの引っ越しを妨げている理由だなんて、今回の遅延(と背景)は、全くのところ滑稽すぎるし漫画すぎる。コロナゆえに仕方ない、のじゃなかった。コロナは、この占拠者の甘いお菓子のトッピングに過ぎない。この男は100%のプロフェッショナルなテナント(プロの店子)だったのだから。(既に、”引っ越しの顛末” 前回に書いた)とはいえ、、このようなサバイバーの存在もわからない訳じゃないよね。
私もオリンも、引っ越し先の裁判の結果を待ち、占拠者の強制立ち退きを待ち続けていた。しかしながら、オリンはとうの昔に頭の中を切り替えたものか、片ずけた絵の具やらペーパーやらカンバスを再び広げ、もう、何枚もドローイングを終えている。私は、というと、、、ブツブツ言いながら、箱に入れたミシンや裁縫箱を広げたり出したり閉まったり。シャットダウンしたコンピューターを再び起こしたり。
待っている以上、意識的に無意識的に、”待つ”という状況への期待感、不信感、希望や焦りやら何やら沸き起こり、当然落ち着かない。すると、数日前にこのように思い至った。
”ゴドーを待ちながら” 1954年、フランス人サミュエル・ベケットの戯曲。何かしらの不条理感。私は、私に集中することを忘れてしまっていたんですね。オリンを見習って、私がやるべき事を取り戻さなくては!
詩人のお友達のことは前に書いたけど、最近、彼女が東京の神代植物公園に、この 燭台大こんにゃく(クリック)を見に行ったそうだ。なんでも、花と葉が同時に出るというのは世界でも二例目だそう。縁起物かもね!と写真を送ってくださった。こちらは心労に明け暮れバタバタしており、ちょっと前にメイルを開けたところの、眼に飛び込んだ縁起物。
そうなんですね〜、実は私の誕生日が、この28日だったんですよ。皆さんからの愛の溢れるメッセージやカード、出版記念のニュース、加えての縁起物イメージはひれ伏すほどにありがた過ぎます。感謝のみ。
I wrote about a friend of mine who is a poet before, but she recently went to Jindai Botanical Gardens/Chofu-city, Tokyo to see this large konjac candlestick. It seems to be the second example in the world that flowers and leaves appear at the same time. She sent me a picture, thinking it might be a lucky charm. This is a lucky charm that jumped into my eyes when I opened my email a little while ago!
Well ~, actually my birthday was this 28th. I am deeply grateful for the messages and cards overflowing with love from everyone, the news to commemorate the publication, and the lucky charm images. Only the Appreciation.
はい、この大見出しで想像つきましたよね? 1月27日、オリンの手術でニューヨークに出た、その足で、月末に越すフロアの内側を確認に行ったわけ、百聞は一見にしかず。住人が占拠していたのでこれまでは中に入れなかった。
私たちの新しい大家さんのお宅に向かうと、怒涛やらポリスカーやら何やら耳に飛び込んでくる。なんてこっちゃ? 夜逃げしたはずの住人がポリスを二人連れて戻ってきており、”自分はここを引っ越しちゃいない、なぜならこれは強制執行による立ち退きなんかじゃないし、まだマーシャルも来てないんだから。それなのに大家が勝手に入ってしかも俺のものを外に出した、ので俺はこの大家を訴えてやる、大家にペナルティが行くんだから俺はずっと住む権利がある” と。
早い話、20日あたりの深夜、この住人は家具を運び出し、どうなったのか大型犬2匹も、いつの間にやら共に暮らしていた女性も何もかも消失。しかもですね、この男が勝手に変えた鍵が大きく開いた扉の先においてあり、誰が見ても夜逃げ。
突然、それも選りに選って私とオリンが下見に来た夜のほぼ同時刻に舞い戻ったのですね。”俺は、ここを出る、とは言ってない。大家が勝手に思っただけ。マーシャルが来る前に俺をこんな風に閉め出したんだから、大家が全面的に悪い”。
、、恐ろしいことだけれど、この男はいわゆるエビクション(自らが立ち退き状況を作りつつ、居座り続けるという)の、プロフェッショナル・テナント ということが判明したんです。
簡単に説明すれば、プロの借り主・店子と言いますか、少しずつ家賃を滞納しつつ(でもその一部は現金で払う)同時に、大家さんに苦情を伝え始める;水が漏れている、窓が開かない、床がギシギシする、なんであれ。少しずつ、大家さんに非があるかのようにもってゆく。
同様に驚くほど法律というのか、大家側が不利になるための手口を熟知しており、面白いようにそれらを使い出す。最終的に立ち退き勧告が出た場合、わざと夜逃げに見せかけ、鍵を見せびらかすように目立つ場所に置き、部屋を空っぽにして、もちろんドアも大きく開けて。頭を痛め切っていた大家さんの不意をつく。『あ!ついに出てくれた!』と。。。この男の罠にハマったって言う、あれね。まんまと引っかけられた!!!!???
ほぼ10ヶ月のレント未払い + 天井を壊して、大家が俺を壊れた部屋に入れたから怪我した、弁償しろ+ 仕事もして新車も買っている + いつの間にか大型犬2匹、しかも近所で何度も噛み付いてその都度警察沙汰、故に近所中の嫌われ者+ いつの間にか同棲している女性とのいざこざで定期的な警察沙汰、、、
コロナの悪しき影響で、裁判所は非常に滞っている、そのために9月には下りる判決が延期に次ぐ延期。昨年の12月31日、(までは住んでも良い)と最終決定されたものの裁判所がマーシャル(強制立ち退きの執行人)のオーダーを出さない限り、住人はその場所を占拠できる。。でも、過半数のひとは、マーシャルにつまみ出されるまでに引っ越すか出て行くか、自らシェルターに保護願いを出すか、知り合いに助けを求めるか、何かしらの手を打つんだけど。それより何より、通常の流れではマーシャルは期日に合わせてやって来る。どんなに遅くなっても、この1月上旬にはキリがついていたはず。
なので、もう、どのように想像しても、この住人はこうやってこれまでもプロフェッショナルな悪知恵で巧みに渡り歩いてきたんだと思ってしまう。そして、彼なりに今回、大変居心地の良い大家、もしくは場所さらにはコロナという状況、という願ったり叶ったりの幸運に巡り合ったのだろう。。。
また、いわゆる『かまってちゃん』。自分が注目されることに激しい喜びを感じており、悪しきことを繰り返す中でいよいよ注目される、警察にも有名人、それらを快感とする。。。そして、警察の厄介になるたびに大声で泣きわめき、いかに自分が惨めで悪い人間か、わかってる、でもどうしようもないんだ、仕事も学も何もない移民なんだ、と同情を引くハリウッドスター顔負けの演技(だそうな)。
なんだろう、バンパイヤ? またはエナジーサッカー? 気をつけてねー。この占拠者は、こうやって揉め事を作って注目されて、皆の怒りを楽しみに待っている。これらの、こちら側の途方も無い怒りのエネルギーをどんどん吸い取って力を得ている、という流れが見えた。関わるべきじゃ無い。何故、私もオリンもこの状況に甘んじてしまっていたのか? パチッと目が覚めた、むしろ覚醒したっていうのかなあ。
まずは深呼吸、沈思黙考、”ニューヨークに移る・戻る” という状況を再度、問い尋ねなくては。私自身に。場所じゃ無いのは確かなんだね。究極的には、自分=住みか=場所 になるのだろうが。
笑う門には福きたる。ま、コメディなんっすよ、Cクラスのコメディ。なので天に委ねます。この流れで私は何を学んでいるのかな?
1月27日、O氏の3度目の腹腔穿刺。それと同時に、肝静脈の圧力測定(門脈圧亢進症の検査のため)、右首筋に穴を開け小さなカテーテルを肝臓めがけて入れるわけ。腹水は総量9リットル抜きました。(すなわち9キログラムですやん)やせ細っちゃっているのに体重計は80キロを超えていたし、胴回りは120センチメートルになっていた、本当に辛かっただろうね。帰宅して測れば体重は72キロ、胴回りは106センチほど。お腹と首筋の絆創膏が痛々しい。
手術を終えて、用事で数時間を費やし、そして帰る途中の乗換駅でO氏は突然の激しいこむら返りでひっくり返る!!手術のため、昨晩から絶食、加えて水分制限で臨んだこと、故にO氏の体液バランスが崩れてしまったのか!もっと水分補給すべきだった!とは言っても用事が控えており、水筒の水と苺味のカフィアのみ。。。 駅の階段でS君はマッサージを施す、なんとか落ち着いたものの、次に車中で再び動けなくなり、幸い、3人席のシートが空いておりそこにO氏を横たえての両ふくらはぎのマッサージ。緊張して突っ張った足を緩めること1時間。駅についても歩けないかもしれない、ので、痛みが激しければ救急病院にタクシーで、と考えたけれど、どうやら痛みは遠のいてくれた。ゆっくり運転して無事帰宅。
戻ると、3階の大家さんの猫くんが遊んで〜、と、やってくる。あまりにもめまぐるしい1日にS君は猫くんに癒してもらったよ。この夜は、O氏の両足ふくらはぎの こむら返りが間断なく襲って、S君は寝ずのマッサージ。ありがたいことに、こむら返りはこの夜だけだったので、翌日はパッキングもせず爆睡のS君。
1月29日からお薬の変化;ローブレナ(分子標的治療薬・ターゲットセラピー)は有難う、さよならー。その代わりに、再び ”アレセンサ” (キモセラピー、と但し書きがついている。ということはもちろん、これを体内に入れれば、正常な細胞もダメージがくるのよね。血液検査で、すでに免疫力がだだ減りすぎているのに)こちらは150mgを4錠(600mg)これを朝と晩に服用、ということは(150x4)を2度、総量で1200mgも取るのです!!すでに一度、これで死にかけるほどの副作用を負っているのに、、。O氏は、あの時は免疫治療の後遺症であんな風になっちゃったんだから、今は大丈夫なんだ、と強気。主治医の処方なので仕方ない、けど、何か起きる前にS君は主治医と健やかな闘いを挑まねばならない。。
ほらほら!S君!!気持ちをばたつかせない!あるがまま。色即是空 空即是色〜〜〜
両足の浮腫、腹水、に相乗効果ありということで、これまでのフロセミド20mgと、新しく”スピロノラクトン25mg”それぞれを1錠ずつ、朝に1回服用。この薬が、コンパニオン・プランツの関係のように、全て相乗効果を発揮してゆく、のだよ。
〜〜〜続く
2023年1月20日は、O氏のCT Scanの検査日。ついで1月24日は、いつものように血液検査と、20日のスキャンの結果と主治医による話し合い。
もちろん、チャットで早めに検査の映像や所見は把握してもいたので、いささか溜め息をついちゃったかな。24日の面談で判明しているのは、ステイブルという状態は今は過去形、肺と肝臓はかなり腫瘍が育っている。意味するところは、O氏のターゲットセラピー・分子標的治療薬(2021年から摂っているあの”ローブレナ”)は確実に耐性がついてしまい、おそらく効果なし、と。故に次の治療法に切り替える段階。当初の処方に戻って、これからは再び、同じくターゲットセラピーの”アレセンサ”。確か、2020年の春先にこれを取ってすぐに重篤な副作用で緊急ストップ、それ故にローブレナに変えた、という経緯はどうなっちゃったんだろう。疑問、謎、クエスション。
いかほどの容量でスタートするのか、数日中にはアレセンサが届く。また、パンパンの腹水は主治医の管轄になく、25日に肝臓専門医の緊急アポを入れた。
ほぼ4年前はアリゾナだったのね。あの頃あまりにもO氏は衰弱してやせ細ってしまって、ベッドに横たわっているのも目に入らなかった、、それくらい薄っぺらだったっていうことなんですが、今はその心配はない。どこに隠れても寝そべっていても、お腹の膨らみは露わに分かるからね。O氏の見た目に、主治医もナースも驚きを隠せなかった、、
まあ、受け入れています。今までもこれからも、O氏とS君の二人三脚の旅なのよね。だから、できる限りの事はする。執着っていうのも感じられないし、何であれ寿命は寿命なんだろうな。そんなふうにS君は考えているので、意外と心は明るい。
今年から、S君は杖を使わない。何が起ころうと二本の足を信頼する。ニューヨーク市内に行く度、心は萎縮して怖かったのでもあったが、今は時々バランスを崩すものの、健常者さながらにスタスタ歩く。無理すると夜には入れ替えた大腿骨部が飛び上がるほど、今も痛い、けど楽しい。何かに頼らず自立しているってこういう感覚?を取り戻しつつある。しっかりとO氏を支えるためにも、S君は自らを鍛えている。
それと、拍子抜けってこういうことかな。改めて書くが、S君O氏の引っ越すフロアに居座っていた(というのか占拠していた)住人が数日前に夜逃げ(突然!)したそうな。。なので、O氏とS君はこれ以上の日々を待たずにお引越し決定。ことに台所のものは一旦パッキングしたのを再び開けたり広げたりして5ヶ月経ったんだけど、本気で全てパッキングしなくては!
、、、肝臓専門医とのアポも書いておかなきゃならない。25日はズームのアポに切り替わってかなり長く面談できた。再び!!腹腔穿刺・お腹に溜まった水を抜く手術。。。それが明日の金曜日。我が家の引っ越しは31日。この5ヶ月強、いろんなものの箱詰めを出したりしまったりの繰り返し。それがここしばらくの流れだったので『変なの〜〜〜〜』という気持ち一色。もう、本当に箱を開いて取り出さなくていいのよね?? まあ、良いでしょう。
〜〜続く
8週間待たずして、O氏は明後日に病院へ出向き、CT Scanを取ることに。ずっと調子も良く落ち着いてもいたのだけれど、腹水が増えてきて、それは横隔膜が押し上げられることに繋がり、通常の呼吸が難しくなってきた。当然、腹腔内の臓器全てが圧迫されてきているので食も細くなる。嘔吐は、ほぼ毎朝の日課。
昨秋、腹水を抜いたそばから肝臓の生検で、(穴が開けられてしまい!!)大量の輸血で蘇ったばかり。主治医は肺癌専門なので、肝臓や腹水、その症状の由来を探るのは肝臓専門のドクターに委ねられる、が、有り余る患者さんを抱えているそうでとてもじゃないがO氏の番は回ってこない。何度も連絡を入れているのだが。。
本当にありがたいことに、S君の大切な素晴らしいお友達が肝臓の専門医を紹介してくださった。ところで、いかなる検査でもO氏の肝臓と腹水の病名も原因もはっきりせず、どう見たって、これまでの強い薬やキモセラピーや放射線などで肝臓の解毒が間に合わなかったか、肝臓そのものが超過労しきっていたのは間違いない。こんなこと書くのもなんだけれど、S君は集中すると身体の内部事情が見えたりもするので、その見え方と照らし合わせてみる。。。
門脈圧亢進 、、じゃなければ、肝臓の腫瘍の転移。。不具合が『腹水』という形を取っている。 これからはしっかり見極めていかないと。S君が直接できるのはO氏への肝臓のマッサージ。(『免疫力のエネルギー』をイメージして、単に触ってるだけなんですが)O氏のお小水の回数は日に日に減ってきている、というのか、水分制限もしてもらっているので。そうじゃないと飲むほどに腹が膨らむ。色々ありまくりではあるけれど、随分とS君の心は穏やかだよね。恐らくは、毎日の16時間プチ断食の効用かな?般若心経かなあ?
S君食堂はいよいよ手際よく、野菜と豆、シイタケや酢の味もの、ちょいとフルーツやヨーグルト。柔らか目の玄米など。代わり映えのしない献立ではあるけれど、O氏が美味しい美味しいと食べてくれるのが嬉しいね。
〜〜続く、
皆、聞き飽きてしまっているのを承知で、今回の引っ越しの顛末を書き留めておきたい。昨年、2022年の7月下旬(ニューバーグの)大家さんから突然、このビルディングを売りに出すから、と言われ、でも次の買い手(私たちには新しくなる大家さん)はきっと良い人だと思うから貴方達はこのまま住み続ければ良い、と言われた。
ニューバーグに引っ越して直ぐにコロナ騒ぎがスタート。ビーコン駅までのフェリーは運休、ニューバーグ市内からニューヨークまでの大変便利な中距離バスはほぼ運休。昨年からどうやら順調に動き出してはいるものの、バスはこれまでの半分くらいの運行ゆえ、バスの時刻に追われてのとんぼ返り。
なので、これもタイミング、と私たちはその場で引っ越しを決意。ま、病院も仕事もそれぞれの付き合いや趣味や活動のほとんどがニューヨーク市内でもあるし、毎回のバスや電車の運賃・出費を考えれば引っ越すべきだろうな。
ありがたいことに、お友達のお友達がタウンハウスのオーナーで、ちょうどそこの住人(テナント)が出るから、とお話をいただき『渡りに船』。なんてラッキー!有り難や、有り難や。ところが、状況的に今そのテナントの立ち退き判決を待っている、なので恐らくは8月中にはーー、とのことだった、のですが、裁判所はコロナの渦中にあり、因って判決日の延期に次ぐ延期。どうやら、エビクションの日付けが決まったのが9月下旬、それから3ヶ月後の昨年末、12月31日が住人・テナントの立ち退き日になった。
この国は、御多分に洩れず裁判大国ゆえに(?)例えば家や不動産や立ち退きにまつわる裁判だけでも気の遠くなるケースに溢れている。加えて、住人側と大家さん側、ふたつの異なる法律はそれぞれをいかに有利に導くかの決まりがぎっしりある。早い話、テナントが1年近く家賃を払わず、故意に物を壊したり勝手に鍵を変えたり認めていないペットを飼う、警察沙汰の事件を起こした、など、(私たちが移るべきフロアに、今も居座る住人くんなのです)何があっても、大家さんは個人的にその住人と交渉したり追い出せない。
全てを公式にファイルにして裁判所に申請し、そしてそこから裁判が始まる。。このケースは誰の目にも住人の非が認められているとは言え、正式な手続きを経なければ何も進められない、そこにこのコロナの影響で、といういわば負の連鎖が居座る住人くんに幸いしてきたのだろう。
先に書いたけど、裁判ではすでにそのような判決が出ているにも関わらず、住人がそのままそこにいられるのは、実は次のステップがあるためなんです。。2022年12月31日以降は住めないよ、との判決も、もし、その日までに住人が出てゆかない場合、強制執行という処置に向かう。最高裁判所で定められたマーシャル(強制立ち退き執行の権限を持つ)が直接その住人の家なり部屋なりに向かい、有無を言わせずその本人、並びにその住人の付属品全て一括して外に放り出す!
ところがまたしても、、、、、すでにコロナの影響で延期になってきているため、裁判所が、マーシャルに一任する公のオーダーペーパーがまだ発行されていないのか?ロイヤーの元に届いていないため、一体いつになるの?って。裁判所のオーダー無しにはマーシャルといえど動けない。故に強制執行の延期。。。
ここで一つの大きな疑問; よしよし、分かった。でも、5ヶ月以上待っている間になぜオリンも早苗も他を検討しなかったの? いやいや、もちろん探しまくりましたよー、が、もうアップステイトも近郊もいいやって。街中に戻りたい、私にもオリンにとっても第二の故郷なんです。それと、、、オリンの機材は半端じゃないし、どうしても処分しきれないものも多い。でもそれゆえに、オリンは縦横無尽に仕事がさらに可能になるわけですし。これまでもそうだったが、今回もとても良い方が新しい大家さんになる。クッキングやガーデニングやあれこれ共通することもあり、何よりも、私のお友達の長年のお友達、という家族的な安心感もある。これは、特別なご縁であると思っている。