ガーデンまっ盛り : The Garden is in full green

この数日で急成長している ケール、カラーグリーン、日本のカボチャ、ナスターシウム、グリンピー、ポーセリン、トマト、バジル、ペッパー、レタス、マスタードグリーン わーい!ありがとう〜。

Kale, collards, Japanese pumpkin, nasturtium, green pea, purslane, tomato, basil, pepper, lettuce, mustard green that have grown rapidly in the last few days. Wow! Thank you~.

O氏の治療歴, そして今これから。その16

5月24日から1週間を置いて、4回目のキモセラピー ”タクソル” は6月7日に予定されている。最初はO氏の頭髪がパサパサ乾いているような状態になった。O氏は割と油っぽい体質なので(笑)手入れをせずとも頭髪はピカピカ艶良く、白髪や、つむじ周りの薄さは天然ウエービーヘアなので気にならない。知り合った当時のゴージャスで変わり者で長髪だったO氏はちょっとカリスマがかっていたっけ。時は過ぎ行く、そしてどこに向かうのだろう?

多分、2回目のキモが終わったあたりかな。ヘアブラシにピカピカした銀髪がガバっと張り付いてゆく、その回数と量が止まらない。やがて、床中にピカピカヘアが漂い始めた。O氏本人も気になるのか、髪の毛がそこら中に飛ばぬよう気配りもあるのか、帽子を昼も夜も被り出した。どんどん加速して毛が抜けてゆく。S君はこれらの抜け毛を集めてシャンプーする。お人形たちにヘアピースを作るらしい。

ある日、いつものようにO氏はベッドでくつろいでいた。いささか初夏の陽気で暑いっちゃ暑い、そんな昼下がり。えー!どうしたの?臨月? S君は見ているものを信じられない。1年前の危篤の時もそうだったけど、こんな大きなお腹じゃなかった。O氏はそんなS君の反応に驚いたのか、半身を起こす。 『ちょっと。なあにこのお腹? どうしたんだろう、凄く大きくなってるよ。腹水じゃないの?』O氏曰く、『いや、僕も最近から腹が膨らんできてるなあって、気にはなってるんだよ。でも大丈夫だよ』

何が大丈夫なものか! ダメだ、O氏に頷いてはいけない。S君は大至急、この変化を診療看護師に伝える。主治医にも看護師にもスケジュールが有るのですぐには会えない、が1日早く病院直行になった。それが6月6日のこと。

血液検査では、肺に血栓らしきものが発生したかもしれず、同様に、お腹の膨らみが肝臓からくるものか(状況によっては、骨や胆嚢の不都合)突き止めるため、スキャンを取る。その結果待ちでこの週に予定されていたキモはキャンセル。よってキモセラピー・タクソルは2週間お休みになった。翌日、6月7日に看護師からの連絡で、肝臓の大きい腫瘍は変化なし、ただし小さいものが新たに出現している、とのこと。すぐにではないが早いうちに腹腔穿刺(ふくくうせんし)をすることになった。(腹水を抜く、同時にその内容物を調べる)

腹水、に関してS君はかなり調べを付けてありその都度、はあーっと、たまった息を吐く。O氏に関しては、この症状が肝臓の不具合からきているのは間違いない、と言って、肝臓機能が改善されれば腹水も減る、というのは聞いたことがない。O氏の眉毛とまつ毛はいよいよ薄くなり、どうかすると見知らぬ人のようにも、歌舞伎役者のようにも思える。そんなO氏の頭を撫で、お腹を撫で、明日はもっと美味しくて栄養のあるものを作ろう、とS君は我が身を奮い立たせる。

〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その15

2022年5月24日、O氏の3回目のキモセラピー、”タクソル” 98ミリグラム。今回のキモセラピーのスタート時に伝えられていたが、3回(3週)続けて1週間はお休み(もちろん、分子標的治療薬・ローブレナと抗凝固剤・エリキュイスはそのまま摂取)そして後半の3回(3週)が控えて居る。

肝臓の数値は少しずつ下がってきては居るが、まだまだ危険水域でどうにも高すぎる。今日の血液検査で白血球をサポートする ”ペグフィルグラスティム” という注射がセッティングされた模様。化学治療の補佐というのかしら、キモののちに24時間経ってから自動的に薬が体内に入るよう、小さなカートリッジのような何かのケースのようなものがしっかりO氏の腕に取り付けられており、時間が来ると自動的に注射針が腕に突き刺さり、よって注射器内部の薬が体内に吸収される。。。単純にいうならば、このように腕に取り付けられて相手側?に間違いなくコントロールされるわけで、こちらから翌日病院に出向く手間がはぶけるし、確実にこのショットが24時間後に否応無く体内に入り込む次第。

、、S君はこわごわ調べをつけて目の前がブラックアウトしてしまった。何?なに?なんなんだ、この処置は??なんなんだ、これは????

医療に従事する専門職の方々、ドクターもプロフェッサーもどうぞ無知のS君を見逃してください。けれど、どう調べても、”遺伝子組み換え”という文字が飛び込んでくる。そこで、腹をくくって英語バージョンで調べをつける。これだとストレートに意味が入ってこないので、勝手に(?)S君には優しい形で(?)つまりはショックを限りなく抑える方法で翻訳すれば良いものね。

ともあれ言えることは唯一、キモセラピーの副作用・弊害で”発熱性好中球の減少” を抑制するためらしい。効能としては、まあ、身体の白血球を増やす、成長を促す、ために重要らしいです。。。嘘っ子でもなんでも良いです、悪さをせず白血球がサポートされるのであれば、、、、なんでも、この好中球、というものは白血球の中で一番多く占められているそうな。

それで、晴れて5月25日、”ペグフィルグラスティム” 自動的に終了。小さな虫の触角ほどの注射針だったのが印象に残った。

〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その14

2022年5月17日。2回目のキモ治療、”タクソル” 98ミリグラム。実は、このような容量もそれ以上詳しくは聞けない。医薬品会社そのものの企業秘密も関係しているのだろう。ありがたいことにO氏の診療看護士はとても良い人で、疑問の起きる度にS君はメイルすることもままあるのだが、無駄のないきちっとした信頼おける返事や回答をその都度いただく。

ことに ”ローブレナ” を取り始めてから、副作用による緩慢なブレイン・フォグはずっと続いている。いわゆる、スローになるというのか頭の回転が鈍るというか、頭の中に靄(もや)・霧(きり)が広がるかのように不確かな状態になり、考えることや集中することが困難になる。最近のニュースによると、コロナ感染の後遺症でも過半数の症状がブレインフォグに酷似しているのが気にかかる。

O氏のケースは脳の炎症ではなく脳のガンそのものだったけれど、脳を人の中枢・コントロールタワーと置き換えてみれば、脳にひたすら感謝して寄り添いたくなる。日を追ってS君とO氏の会話は、ちぐはぐに度合いがかかり、ここしばらくS君は『ちょっと、聞いてるの?』と苛々する。S君は不確かなイングリッシュスピーカー、加えて日本語も入れて話すものだから、ブレインフォグに拍車のかかるO氏には到底間髪置かぬ返答なんて無理なのだけど。。 『知ってるでしょ、僕が日本語わからないことを!英語で喋ってよ!』と切り返される。

それが原因か、O氏は時々、’何故日本人は英語が話せないのか’ ’日本語解釈脳と英語解釈脳’ のようなビデオを見ていたりする。

、、、、O氏との足掛け16年は、自閉症スペクトラム(または高機能自閉症・アスペルガー)といかに折り合いをつけるか、の果てのない(時には不毛と思える)積み重ねだった、と、S君は述懐する。 とはいえ、S君そのものも実父との確執・その精神的後遺症に長く悩まされてもいたので、宇宙人のようなO氏には数限りなく助けられてきている。”ノレンに腕押し”というのかな、決してこちらの望む答えは期待できない、実に残念ではある。ところが逆に精神分析者やカウンセラーと話しているかのように錯覚することも多い。O氏との会話で、例えばS君は喋りながら、同時にそのおしゃべりを自らが傾聴しつつ分析している。あたかも心模様を第三者のように鮮明に把握し、理解する。(これは言うまでもなく、相手からの的確な受け答えを得られない、と言う諦めにつながる、勿論、そうじゃないことも多いので、ま、半々というところでしょう)

またS君は、O氏があたかも彼女の母親のように、彼女の父親のように演じるのを気に入って居る。こんなふうにお互いがお互いを癒しあって気付きの深さや豊かさに向かって居るのかもしれない。

〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その13

S君はニューバーグに引っ越してからというもの、その殆んどをランダー通りに面している第二の寝室で眠っている。最初は右手首の骨折のため、次に左足大腿骨骨折のため、不自由な動きで夜中にガサガサ動く。ベッドの隣にはすぐに用を足せるためのポータブルトイレを置いていた。O氏も大変な時期なので少しでもゆっくり眠ってもらいたい。S君自身が目一杯の負担なので、極力ストレスを生産しないこと。気楽にしていないと共倒れになる、、

もう一つの理由は、この3年間の間断ない化学治療に加えて、O氏自身が食べ物やらサプリメントを調べ上げ、治療の一環でガーリックとターメリックをふんだんに摂取することにも由来する。(のちに書くけど、ターメリックは摂りすぎちゃダメ)日々の食べ物や治療薬が体内で撹拌され、おそらくは、身体内部から皮膚を通して微妙に蒸発している複雑な匂い。どうにも馴染めぬ匂い。なんて悪妻なんだろね、とS君は自分を責めもしたがやっぱり自分自身の臭覚に忠実でいよう、と。

だって、O氏がモデxxを打った後は、なんとも言えない甘ったるい刺激臭が数日ベッドルームに漂っていて、臭覚過敏なS君には大変だったんです。

さて、、、肝臓か胃のあたりのチクチクする痛みが4月から5月にかけてO氏を襲う。結果はやはり肝臓の腫瘍とのこと。生検手術の終わりを待って、5月6日、あの分子標的薬・ローブレナ(100ミリグラム)を再開。主治医の説明で理解できる限りにおいては、本家本元のガン化したくて堪らない細胞達(?)が肝臓に発達勢力を伸ばしているそう。と言って、肝臓のみに集中治療を行うと、これまでせっかく落ち着いていた他のガンさんたちも目を覚ましかねない、ので、ローブレナ(分子標的錠剤)とキモセラピー(点滴治療、全身に回るので当然、良い子細胞たちも一気に弱る)の二つをこれからは続行、とのこと。

O氏の肝臓さんの状態は、もう手術も移植も不可能な水域だそう。そのための主治医の決断でもある、、、のですが。

ちょっと待ってくださいよ! 論理的には間違いなさそうではあっても、倫理、あるいは生体的にはどうなのよ?! S君のリサーチは瞬く間に始まる、副作用に関してはもう毎度お馴染みの言葉の羅列。こんなふうに効果がある、ただしこれこれの副作用、場合によっては(これまたお馴染み)重篤な事態も発生するので即ストップ。O氏の治療で最初の1年間は、免疫治療(キトルーダ)と化学キモセラピー(アリムタ)だった、が、この時は当時の主治医に忠告されていたにも関わらずO氏の頭髪はほぼ抜けることもせず、元気にしっかり頭にひっついていました。

この5月10日初回のキモセラピーは、”タクソル” という都会のオヤジっぽい名前。その都度、98ミリグラムとのこと。原料は或る種の植物由来らしい。アレルギーが発生するらしいので、キモの前のアレルギー回避の検査点滴あれこれ。待った無し。確実に頭髪は抜けます、と言われた。

キモで髪が抜けるということは早い話、正常な身体細胞も弱るか、復活不可能なほどのダメージを受けるか、ともかく異常事態になってしまうんだ、もう放射能障害と同等に思える。それでなくともおびただしい量の放射線治療は昨年受けている、しかも同じく肝臓に。

一番辛いのはO氏なのね、『もう、受け入れます、よろしくお願いします、効いてくれることを祈ります。まずは最初の連続6回キモセラピー(1週間に一度)で様子を見たいです。さらに継続しても構いません、ガン治療なのですから。』O氏からこんな言葉が聞こえるようだ。それでもS君が尋ねると、O氏自身の緊急課題は、”いかに自己を強く保つか、” だそうだ。そうでなきゃあ、ね。

きっと出口を見つけられる、だって、二人には『希望』という鍵を渡されているのですよ。

〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その12

メモをそっくりそのまま記すと;

2022年3月15日 ーー 5月5日 の52日間は 分子標的治療薬”ローブレナ” の休薬。5月6日より、”ローブレナ”(1日一回、100ミリグラム)再開。

ウォーターピル ”フロセマイド” 2022年3月16日 ーー 4月11日の27日間服用。両足、ひざ下のむくみ、足の甲の浮腫み落ち着く。蜂窩織炎・ほうかしきえんが奇跡的に回復、新しい皮膚ができてきた。 これらの事実以前に、肝臓の数値が異様に高いため危険水域に向かわせないための中断。

2022年4月25日 ーー 5月5日の11日間は 血液抗凝固薬 ”エリキュイス”を休薬。理由は肝臓の生検のため、本来の血液の状況を見るかららしい。5月6日より ”エリキュイス”(1日二回、計10ミリグラム)再開。

3月14日以降ほぼ週一で病院に通う。一旦、むくみ治療で本来のターゲットセラピーをストップしている為の毎回の血液検査。すぐに肝臓の数値の異常な上がり方が判明、これが4月4日のこと。

4月11日の血液検査の結果、確実に肝臓に問題がある、と。数値はさらに上がる一方。4月20日の主治医の判断で、ローブレナを再開する前に、肝臓がどのような状態になっているのか精密検査が必須、ゆえに、スキャン、MRI/核磁気共鳴、ウルトラサウンド/超音波、バイオプシー/生検, これら矢継ぎ早の精密検査が行われた。一旦、ガンの主治医から肝臓専門医に変わり、引き続き検査をする。これが4月20日過ぎのこと。

肝臓生検は4月28日に行われた。これら、生検や放射線治療の場合、決まってその説明、処置前と処置後の注意など記されたプリントファイルを渡される。じっくり読んでO氏ともども納得。

S君の場合、緊急入院もコロナのピークで一切の付き添いは認められず、問い診も注意事項の印刷物も同意書も、何を読み、どこにサインしたか何をどうされたのか、”何々がどれこれですので手術前にこれこれの注射します” ”これこれの数値が低下しているのでこれを飲んでください” と伝えられてもちんぷんかんぷん。モルヒネも効かず激痛の真っ只中に、麻酔は問題ないか、と問われても歯医者さん以外、それと最近の手首手術の全身麻酔以外は体験なし、入院中はほぼ頭が機能しなかった。

〜〜〜 続く

ニューヨーク、ですね?:It’s New York, isn’t it ?

病院の付き添いは緊急でもなく、私は一人、暑い青空の下をチャイナタウンに行く。ちょっと必要な買い物も終え、それでも時刻はオリンと落ち合うにはたっぷり残っている。建物の影を選びながら、杖を片手に3番街を北上する。

ニューヨークに出向くときは ”転ばぬ先の” 杖は離せない、とはいえ今回もレジに杖を置き去りにして、お客さんやレジの女性に『あんた〜!忘れてるよー』って杖を指さされた(笑)。何やら、とうの昔にニューヨークにいる緊張感・甘美な自己満足感は消え去り、日々の記憶と習慣、加えて、碁盤の目のように規則的に縦横を走っている通りにも助けられ、歌を歌い、ぼんやりと想念を追いかけ、汗をぬぐい、”年をとるってこういうことかな” となんだか面白くなってくる。大好きなお友達、皆に会いたいけど帰りのバスが待っている。

プリンス・ロジャー・ネルソンのことを考えていたら目の前が ”プリンス通り” だった。ハウストン通りとスタントン通り、リビントン通り、そして3番街。この一帯が当時の私の存在の証。

いっとき住んでいたバワリーのロフトは程なくピカピカな画廊になり、今日、久しぶりに通りかかると画廊は何処へやら? 全体が改装の真っ只中になっていた。

今は飛び切りに土地の高騰する一等地。美術館やレストランやマーケットが連なり、20年前の記憶と交差する。あの頃、ロフトの裏は広大な空き地に鬱蒼と灌木がかぶさり、野犬が群れなして吠えていたっけ。ロフトでは何度か妖精を見たよね。既に雨漏り激しく床も崩れる寸前の暗いロフト内で、私は蝶々が飛び交うのを見た。何??小さな妖精さんたちじゃないの!!?? 複数回みた。

あの時の妖精たちに頼んだことが、そして感謝の気持ちから当時のロフトオーナーに縫ってあげたトンデモ服が、今になってそれらがロフトオーナーをシンデレラボーイに変えた。奇異な小説のようだけど本当の話。

It’s not important that I stay near the hospital, so I go to Chinatown alone under the hot blue sky. I’ve done some necessary shopping, but I still have plenty of time to meet Orin. While choosing the shadow of the building, I walk north on 3rd Avenue with a cane in one hand.

When I go to New York, I can’t let go of the cane that “doesn’t fall” however, this time as well, I left the cane at the cash register so was told by the customers and the cashier “Hey you! You forgot!”— they pointed at my cane (lol). Somehow, the tension and luscious self-satisfaction that I had in New York long ago disappeared already. As well as the streets that run regularly like grid, helped by my memories and habits. Singing songs, vaguely chasing thoughts, wiping sweat, and “I wonder if this is what it means to get older” becomes somewhat interesting. I want to meet my favorite friends, but the return bus is waiting.

When I was thinking about Prince Rogers Nelson, I saw “Prince Street” in front of me. Houston Street, Stanton Street, Rivington Street, and Third Avenue/Bowery. This area is a proof of my existence at that time.

The loft where I lived for awhile soon became a luxury gallery, and today I passed by after a long time, where did the gallery go? The whole building is in the middle of a renovations.

Now it is a prime location where the price is soaring. The museums, restaurants and markets are lined up, and intersect with the memories of 20 years ago. At that time, the back of the loft was covered with dense vacant lots and shrubs, and stray dogs were barking. I saw fairies several times in the loft. I thought butterflies flying in the dark loft, which was already leaking and the floor was about to collapse. What? Not the butterflies but they were little fairies! !! ?? I’ve seen it multiple times.

What I asked the fairies at that time, also all of my appreciation and feeling of gratitude to a person who was the loft owner at that time – I sewed several eccentric funny clothings for him. Now these old clothings have turned the loft owner into a Cinderella Boy. It’s like a strange novel, but it’s a real story.

O氏の治療歴, そして今これから。その11

さあて、いよいよ現在形に近づいてきました。

2021年の暮れから2022年幕開けもO氏の浮腫みとの戦いは果てがない。ありがたいことに、O氏の両手首の腫れと痛みは、動かしすぎぬよう細心の注意でいたことや、同様に無理に動かさないよう気をつけていた日々が功を奏し、だいぶ楽になってきた模様。

足のむくみは相当なもので、それゆえにO氏はS君に両足を見せたがらないし、寒い季節はどうしたって長ズボン。なのでうまいことS君に隠していたのだろうか。S君はネットで調べた浮腫のツボ押しだの何だのを試みるのだが、押した跡がそっくりそのままでかえって痛々しい。

イベントあれこれで忙しさが重なる頃、S君は3月上旬に一枚のレシート発見!帳簿付け担当なので、それまで見たことがないレシート。いつの間にか、O氏は薬局で液体絆創膏というのを買っている、どこに処方した?? それよりも前に、パンパンのO氏の左ふくらはぎに怪しい水ぶくれ出現。浮腫みきってとうとう内部から溢れてきたかのような、そのちょっとした大きさの水泡にS君は気がついていたものの、火傷や皮膚の傷にはキダチアロエがよく効いたこともあり、破けたら即、アロエで処方してなどと気楽に構えていた、その判断を誤っていたものか。。

『ちょっと見せて、あの水ぶくれ』とS君はシャープに尋ねる。『うん、、、大丈夫なんだよ、ただ血が出てきたから大至急液体絆創膏でーー』。観念してO氏は左足ふくらはぎを見せる!!!!形容しがたい惨憺たる有様ということでよろしくお願いします。既にリサーチはしていたので、唯一言えるのは、重度の蜂窩織炎(ほうかしきえん)ということ。有無を言わせず即病院。

もちろん、主治医はその日からしばらくこの皮膚の深部炎症が完治するまで分子標的治療薬・ターゲットセラピーの ”ローブレナ” をお休み、との通達。実のところ、この薬も副作用の一環で浮腫みや肝臓に障害が出る、ことも十分に推測できるわけ。それまではO氏もS君も夢見心地に、『このまま、ガンが落ち着いて増えることも成長することも転移することもなければ、一病息災で良いからローブレナの減量とか休薬、断薬に向かえるように食事のバランス、運動などももっと真剣に考えようね』などと言い合っていたし、きっと願いは通じると今も思っています。

その日の検診でローブレナを緊急ストップ、これが3月14日のこと。(昨年の5月21日から欠かさず服用していたが約10ヶ月で一旦休止。)どのような新薬も、患者側の身体に耐性ができてしまうと効果が無くなるのみならず重篤な副作用発生、という結末を迎える。今回は、一旦副作用治療のための休薬らしい。

俗にウオーターピル、と呼ばれる ”フロセマイド”を早速服用。毎日一回、20mg。身体の不要な水分を外に排出するらしい。O氏においては両足の浮腫への処方箋、これが3月16日のこと。奇跡的に、蜂窩織炎の部位はみるみる回復し出し、惨憺たる状況もまさに時々刻々表面が乾いてくる 〜 うっすらとカサブタらしきものが表面を覆う〜 ピタッとカサブタで覆われる〜 凹んだ状態だったカサブタそのものが盛り上がってくる〜 ある朝、カサブタが剥がれうっすらと健康なピンク色の皮膚が現れた。

〜〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その10

始めは、ギターやベースを弾いている時、O氏は左手首、それからほどなく右手首の強い痛みと浮腫みに気がついた。本来が楽天的な性格ゆえ、『久しぶりに弾きだしたから手首が疲労しちゃったんだろう』などと本人はポーッとしており、緩めのサポーターのような布を手首に巻いてニコニコしている。

コンピューターワークで当然とはいえ両手指を駆使するわけで、こちらはあまりストップできないため、O氏の手首の痛みも浮腫みもなかなか回復しない。それどころか日に日に両足首からくるぶし、やがては両ひざから下、ことに左足のむくみは半端なく指で押しても全く戻らない。同時に両足の甲もむくみがひどく、左足の裏(土踏まずはちゃんとアーチ型に見てとれる)の激痛も始まり、今ではS君のウオーカーや杖を使う羽目になった!もう、両アキレス腱の位置すらどこだかわからない、等々いかに大変な浮腫か想像できるよね。

たまたま二人がスニーカーを買いにニューバーグのショッピングセンターに出かけた時も、O氏は腫れ上がり切った浮腫のためこれまでのサイズが入らない。結局はふた回り大きなサイズのシューズを決めたのだけど、もちろん、それまでにもS君はこのO氏のありえない状況を徹底的にインターネットで調べをつけたり、診療看護師宛にメイルを送ろうとするのだけれど、その都度O氏に止められる。なんだかんだO氏なりのアイディア、理屈、経験上、『昔、合わない革靴で同じ部分を痛めてその時も完治に時間がかかった、だから今さらって云うか痛いのは困るけど。でも大したことはない』 と。『足裏の激痛は、日々早足歩きの特訓(これで肺活量や筋肉を強化するらしい、O氏なりのアイディア)による弊害なので心配ない』。

そんなわけないですよ。S君の拙い素人リサーチでも ”これこれのむくみはーーーによる弊害・副作用、ゆえにいち早くドクターに知らせること” と明記されているではないですか!? O氏は血液検査などでは定期的に主治医または診療看護師に会うのだが、一応は副作用らしき状態を見せつつ『でも、大丈夫なんです』と自ら打ち消してしまう。

このように刻々と発症してきている浮腫みは、2021年の10月頃にはスタートしていましたね。同時に O氏の足裏の激痛は ”足底筋膜炎”という症状が一番似ているけれど、もう、わからなくなってくる。相談できる有り難い人々には恵まれているが、この時もリフレキソロジストのお友達には随分と助けていただいた。

〜〜〜続く

O氏の治療歴, そして今これから。その9

夏いっぱいは可も無く不可も無く淡々と治療が運ばれていった。ここで一悶着が起きた。

つい数ヶ月前は危篤状態のO氏であった、その事実を踏まえるとコロナのワクチンを打って良いものかどうか、ローブレナ、のおかげで一息をついて未だ本調子ではない身体状況で、副反応がきついと言われているワクチン。この成分がO氏に及ぼす影響を考えるとS君は気が気でない。お年寄りや持病持ちの人こそ率先して打つべき、という見解には、果たしてO氏のような死に損ないのガン患者にはどうなのか?という単純なS君の疑問。

ー〜ーー、全て割愛。

S君自身は未熟児として生まれて以来の特異体質で自己免疫疾患。これまでのあらゆるワクチンを回避してきた歴史から、今回も打つことはできない。ドクターにその旨、オフィシャルレターを書いていただいてある。

O氏は2021年の8月と9月、モデ**のワクチンを打った。それはさておき、今に至るまで二人ともにコロナには罹患していない。風邪もひかない。いや、待てよ? S君は、2019年の秋やっとの思いでイーストコーストに舞い戻り、O氏を支えつつ部屋探しだの何だの疲労困憊の中、恐らくはとびきり攻撃力のある新種の風邪(フルー?)にかかったのか高熱と空咳、一度昔に肺炎をやっているのでその部位もキリキリ痛む。まだ、コロナの出現する前でもあったのだけれど個人的にマフラーをぐるぐる巻きにして喉の保温、それに日本製のマスクで喉の保湿。生姜や味噌汁でなんとか乗り越えた。

とにもかくにもO氏においては他所からの咳・くしゃみ、何であれ受け取ってしまうと命取りになりかねない、ので非常に気を使って来た。最低必要事項としての手洗い、うがい、マスクは欠かせなかったが、最近はワクチンを打った打たないに関わらず、コロナでは?という症状(またはコロナにかかった)を訴える人々が多い。皆一様にこの数年来の騒ぎでピリピリしているし、心身ともに疲労困憊もしている。

数年来の間断ない治療、弱っている身体の免疫力の低下、これまでの治療による身体組織の疲弊、劇薬相当のターゲットセラピー(事実、取り扱いは毒物とすること、などの注意が明記されている)、ここに新たにコロナワクチンという人工培養物が注入されるわけでもあり、果たしてO氏の弱り切った免疫システムは次々のニューフェイスにどのようなリアクションを示すのか、。。。 アクセプトできるんだろうか?

O氏の2度目のワクチン接種は9月18日だった、その二日前の9月16日の定期検査では肺も脳もそれぞれのガンは落ち着いており問題無し、ただし肝臓の数値が上がっていて何かの兆候かも、と。

このような状態でワクチンを打っても大丈夫か?とS君が尋ねたところ、フィジシャン曰く、”問題ないです” との事だった。

〜〜〜続く