”若紫”. 神舘美会子 / みたち みえこ

みえこさんと初めてお会いしたのは、確か2012年でしたか。

遡る2011年3月11日、福島の三つ巴(地震・津波・原子力発電所の崩壊)の大災害は記憶に生々しい。被曝や汚染回避のため故郷を離れざるをえなかったたくさんの人々、津波による環境の壊滅的ダメージ、改めてその危険性を知るがゆえに原子力発電所の廃絶を求める声が高まり、2011年以降 ニューヨークのいたるところで沸き起こるデモや集会、その中でみえこさんと出会った。

みえこさんは美術大学卒業後 早くに海を渡り、ニューヨークに落ち着かれて後 テキスタルデザイナーとして第一線で活躍。ご子息の誕生後は、異国で生まれた子供達への語学・情操教育をサポートする私立学校を設立されたり、文字通り 八面六臂の大活躍。

前後するが、知人を通して、彼女の出版した ”Odyssey 遥かなる憧憬 ” という本の話を聞いてもいたし、わたしが訪問介護をしていたご家庭がどうもみえこさんの関係者らしかった、等々、接点がいくつもあったにもかかわらず、わたしがよく顔を出していたダウンタウンの老舗ギャラリー、128画廊でお会いしたことがそれまで一度も無かったのが いささか不思議でもあった。

のちに、この時期は彼女がまさに彼女自身の抱えてきた、そして内奥の忘却の部屋に封印してきた怒りや苦しみを いかに理性と感性で理解し分析し受容し、ついには解放してゆくか、ゆえに ”許し” を実現したか。その年月と被っていたことがわかった。

『 ”ある日突然、狂気の発作が襲って” きてから精神の回復に至る約10年間、素晴らしいサイコセラピストに支えられてきました、その間はほぼあらゆる活動からも アート制作からも 人々との交流からも遠のかざるを得なかった、それどころではなかったんです。間断なく脳内に出現する途方もないイメージに引っ張られまい、と これらのイメージをひたすら言葉に変換してきました。10年に及ぶセラピーの間、毎日、異世界の旅を日記として書いていました。書き続けた55冊に及ぶ大学ノート、ここには私の神話(異世界の旅)が詰まっています。それは私個人の神話です。そして、この体験を通じて、すべての人はそれぞれ固有の神話を持っているということに気付かされました。』

と、お話くださった彼女の、ご自身を取り戻すべく彼女の神話と原型に向かった長い旅の集大成として ”Odyssey 遥かなる憧憬” は出版された。 (この、彼女のギリギリの精神の淵での試みは、のちにユング派の推奨するアクティブイマジネーションの方法そのもので、あとがきを書かれた医学博士;老松克博先生は大変驚かれたそうだ。)

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みえこさんの第一印象は、”虫愛づる姫君” もじって ”言の葉愛づる若紫姫” がぴったりする。型にはまらない、やんちゃな童女が草むらを駆け回って、はらはら降ってくる言の葉・ことのは を追いかけている。いや、そうではなくて、どうも言の葉が彼女の周りに来たがるのかしら。創造の引き合う力。重力と引力とインスピレーション。何故か源氏物語が現前し、黄昏の室内に火を灯すことも忘れて彼女はそれら言の葉を優雅に紡いでいる。

以前、彼女に 『みえこさんは文筆家だし、絵描きであり、彫刻家であり、アクティビストでもあるよね。もし一つだけ肩書きにせねばならないとして、どれが一番貴女にとってふさわしい呼称なのでしょうね?』と尋ねたところ、『私は文章や詩を呼吸するように扱ってきた、社会や世界の不平等、反戦思想は10代に培われた。生活のためデザインもやってきた。けれど私はアーティスト。描いたり創造しているのが好きなのよ』との即答は明るい。天晴れ みえこ! ここにあり。 わたしの心は大喝采。

大人のための童話 “「Magic Toy」 第1話;マリーの冒険” 、一人の日本人男性の国際結婚を伏線に、全編を覆うニューヨーク社会への問題提起 ”プエルトリコの空はいつも青い” などもいずれこのブログにて紹介したいと思っています。

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ゴムの木 トミーの怪 :Rubber Tree Tommy’s Mystery

今年の初め、我が家のゴムの木のことを少しブログに書いた。それから8ヶ月を経てトミーに異変が起きたんですね。新しい葉が出てくるので当然その分は成長もし、背丈も伸びてるはずなのに、どうしたことか この異変に気がついたのは7月下旬頃かしら。何度も書いてしまうが、我が家の大家さんのご事情でこのビルディングが売りに出されてしまい、それでテナントでしかない私たちは引っ越さざるを得なくなったんだけど。

もし、半地下などに移った場合、トミーは天井に頭が届いてしまうだろう、いや、高すぎて入りきらないかも などと私とオリンは懸念したし、口に出してもいた。それをトミーは聞いていたんだろうか。

背が高すぎて捨てられちゃあ困る、と思ったものか、ある日を境に、それは恐らくは8月に入ってからなのは間違いないけど、葉っぱは次々出てきているのに一向に伸びない。つまりトミーの成長が止まってしまったようなのだ。そこでトミーに話しかける;どこに引っ越してもトミーも一緒だからね。一緒に引っ越すから心配いらないよ、と。

それを聞いて少しは安心したのかしら?ただし一向に伸びない。まずは引っ越し先の状況を把握してから決める、高い天井の場所に置いてくれればそれもよし、そうじゃなければこのまま小さくなってもよしって決めたのかなあ。だって!!トミーはすでに10センチ以上縮んでしまっている。植物にももちろん命も感情もあるし、交流できるのも間違いないけど、ここまで素直に気持ちを見せてくれる植物にはお目にかかったことがない。はてさて、、引っ越してからのトミーに乞うご期待というところでしょうか。

Earlier this year, I blogged a bit about our rubber tree named Tommy. Eight months later, something strange happened to Tommy. New leaves are coming out, so of course it should grow + grow taller, but for some reason we noticed this change around the end of July (?) I’ve written this many times, but due to the circumstances of our landlord, our apartment building is for sale, and we, who are only tenants, had no choice but to move.

If we moved to a semi-basement or something like that, Tommy’s head would reach the ceiling, or, he might be too high to fit in. Orin and I were worried, and we even discussed it. Did Tommy hear that?

Tommy thought it would be a problem if he was thrown away because of his height. One day, I’m pretty sure it’s probably sometime in August, the leaves are coming out as usual, but he doesn’t grow at all. In other words, Tommy’s growth seems to have stopped. So, we talked to Tommy; No matter where we move, you will be with us. Please don’t worry.

Is Tommy relieved to hear that? However, he never grows. “First of all, let me decide after we move. If you put me in a place with a high ceiling, that’s fine, and if that’s not the case, I am okay to keep myself as small as it is.” Because! ! Tommy has already shrunk more than ten centimeters. Surely, plants also have lives and emotions, and there is no doubt that we can interact with them, but I have never met a plant that shows its feelings so honestly. Well, what are our expectations for Tommy after moving?

ミック・ジャガー、とか、プリンス:Mick Jagger and/or Prince R. Nelson

つい最近、オリンの腹腔穿刺 (腹水を抜く)のため病院に出向いた。簡単とはいえ手術でもあるし、二人ともいささか緊張した、のも つかの間、颯爽と現れた若き看護師、どう見てもミックジャガーの再来。その立ち居振る舞い、所作、顔の表情や喋り方。(私は彼の映画『パフォーマンス』を何回も見たほどで、若い頃の彼はなかなか素敵だったし、かっこよかった) 思いがけずミックが現れたことで(笑)二人の緊張は吹っ飛んでしまったのです。

また、これは少し前のこと。いつものように付き添いでニューヨーク市内に出て、買い物もあって一人地下鉄に乗った。『ブリーカー駅』は時間帯がそうだったのか、なかなかの賑わい。私の目的の駅ではなかったので、なんとなくホームを行き交う人々を車内から眺めていた。え!!!プリンス!!!

若き日のプリンスが目の前に!? 端正でセクシーで野生的な顔。ほっそりした肢体を黒っぽいシャツとパンツで覆い、ギターを背負っている。スニーカーだったのね、ハイヒールを履いていない彼ではあったが まさに何もかもが紛れのないプリンス! 一瞬、目が合いかけたと同時に、この男性は人混みに紛れてしまった。。。

他人の空似。容姿や体型が似るということはすなわち、その身体構造上、恐らくは声のトーンも近いだろうし、もしかすると思考回路も場合によってはその人生も類似するのではないだろうか?

顔かたちが似ていなくとも、例えばいつもプリンスのことを想っていれば、いずれ私もプリンス(のオーラ)に近付くかな。そうだといいなあ〜〜〜。

Just recently, because of Orin has to take IR Paracentesis (abdominal drain ascites), we went to the hospital. It was a simple operation, but both of us were a little nervous. However in a moment, a young nurse appeared, looking gallantly, exactly “The return of Mick Jagger”. His demeanor, gestures, facial expressions and the way he spoke. (I saw Mick’s movie, Performance many times, and he was pretty cool when he was younger.) The unexpected appearance of Mick (laughs) blew our tension away.

Also, this was a while ago. As usual, I accompany Orin to the hospital and went on the subway alone to do some shopping. “Bleecker Station” was quite busy, probably because of the time of day. It wasn’t my station, so I just watched the people coming and going on the platform. OMG! Prince! ! !

The young Prince R. Nelson is right in front of me! ? A neat, sexy and wild face. He wears a dark shirt and black pants covering his slender limbs, and carries a guitar on his back. He was in sneakers, (he wasn’t wearing high heels) but he was the undisputed Prince in everything! For a moment, our eyes almost met, and at the same time, this young man disappeared into the crowd. . .

Imitation of others. The similarity in appearance and body shape means that due to their physical structure, the tone of their voices will probably be similar, perhaps their thought circuits and, in some cases, their lives are similar, too?

Even if I don’t look alike, for example, if I always think of Prince, I’ll eventually become closer to Prince R. Nelson (his aura). I hope so ~~~.

O氏の治療歴, そして今これから。その26

9月6日、先週は 血小板数の値が低かったが、今日はノーマルということで、タクソル・キモセラピー3回連続の1回目。ALPは緩慢ながら数値が下がっていて(2週間キモを取らずとも数値が下がっている、のにどうしてキモなんぞを打たせたいのかしらねー?謎)やっぱりうれしい。さらに気をつけている食事と足踏みマットの効果だよ、と言いたい気分。O氏がお医者様や病院に最大限 信頼を寄せているのだから放っておこう、といつも思うのに でもさー、、の繰り返しはS君にとって緊急になんとか心に折り合いをつけたい課題なのです。

9月7日、腹腔穿刺【ふくくうせんし】のため、4時ちょっとの早朝バスで病院に向かう。腹水の溜まっている状態での生検はかなりのリスクを負う、らしいので、初めの予定通りに腹腔に溜まっている水分を抜くわけです。O氏はいささか緊張気味、珍しくS君に突っかかる、けれどS君はお手のもの。かつてS君の実父母もそうだったけど、ことに治療中や入院中 患者は家族やケアギバーに(恐らくは気安さとか安心感からか)わがままや意地悪を言うこともよくある話。

局所麻酔なので数十分、O氏はポトポトと管を通って排出される水音をずっと聞いていたって。健康な人でもいくばくかの腹水は当たり前のようにあるらしい。O氏は、いわば異常に水が溜まってしまっている状態なので今回のように検査あれこれで、どうしても抜かねばならないわけ。都合、1リットルほど抜きました。見た目はまだ膨らんではいるものの、随分と落ち着いたかね。それまではちょっと呼吸が苦しそうだった。

数日は安静にして様子を見るらしい。かなり大きい穴がお腹に開けられたかと危惧したものの、すぐに塞がったものか、お腹にひっつけられていたバンドエイドの端の、かぶれの発赤の方が痛々しい。病院を出るなり大食いのO氏に早変わり。帰りは日本の惣菜屋さんの生姜焼き肉弁当を食べ、ドーナッツを食べ!!S君にしてみれば、手術に耐えた子供に、今日は特別大目に見てあげましょう、との母親の心境。

とはいえ、ほぼO氏が S君の父親や母親を演じてくれるので、こうしてS君は徐々にインナーチャイルドを癒しつつあるのだけど、逆の立場でいえば、S君は単に鞭と鞭、または、飴と飴、の対応になってしまうんだろうか。どうも、O氏の癌発覚以来 この人への接し方をしっかり体得してないのかしら、とS君は身震いする。 〜〜〜 続く

鈴木いづみと阿部薫、数年に一度は気になる存在。

阿部薫、伝説の天才的フリージャズ演奏家。彼の内宇宙をキリキリ絞り込んでゆく情念の竜巻、その火を噴く熱情は生命を焼き焦がし、螺旋階段を転がり落ちながら尚 身体への尊厳を踏みにじり、薬物の過剰摂取による夭折。享年29。

音速を超えるスピードを目指し 極限界へ捨て身の挑戦、この追随を許さぬ演奏スタイルは同時に酒と薬に激しく支配され 彼の破滅的感性に妻であったいづみは同調し、ほぼ同化してきた数年の結婚生活。互いが互いの精神を刺し違えてゆく年月は限りなく重い。

阿部薫、と呼ばれる生き様、エクステンションとしての彼のアルトサックス、彼の化身そのものでもある壮絶な音霊は パンクでありアンダーグラウンドや前衛の女王であり続けてきた妻・鈴木いづみの根源すら緩やかに引きちぎって来たのかも知れない。離婚、しかして二人は再び生活を共にする。

ほどなく薫のオーバードースによる事故死発覚。彼の亡き後 いづみは心の深淵の陰るスピードを直視せず、共依存という出口の探せぬ関係性、吹きすさぶ渦中ですでにズタズタの心的ケアも投げやり、同化すべく何もかもを失い、彼女そのものに食い込んでいる乾いた記憶、人生観を頼みに 晩年はその心情を小説に昇華した。

いづみは女優・モデルであったと同時に幾多の文学新人賞の候補に上がった奇天烈な小説家でもある。薫亡き後 8年という長年月その二人の関係を再構築するかのように薫の亡霊だけを網膜に映し 日々、彼の亡霊と共に過ごし、困窮する生活の果てに一人娘の傍で縊死を決行。享年36。

ご息女の鈴木あづさは、第一線で活躍する報道記者であり小説家でもある。 近年は 母親;鈴木いづみの生前の撰集に尽力している。そしてここに私は 一人の菩薩、沈黙の救済をひし、と感じてしまう。

『わたしのまえにだれも立つな』『わたしは男でもないし女でもないし、性なんていらないし、ひとりで遠くへいきたいのだ』 『生きる速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。細く長くか太く短くか、いずれにしても使いきってしまえば死ぬよりほかにない。どのくらいのはやさで生きるか?』 『よわい人間は、やさしくなれない 』 『厚顔無恥な幸福は大きらいだ』 〜〜〜 鈴木いづみ語録から抜粋

俺は今どれだけ音を出せるか、どれだけスピードを出せるかって、もうそれ以外のことを考えていないんだよ。もうあらゆるものよりも早くなるということ。別に駆けっこする訳じゃないんだけど、そういう意味でのスピードじゃないんだけどさ、とにかく超スピードになるってこと。音を追い越しちゃうってこと。 ~~~~~~

~~~~~~ 音がビューッってベッド(注・阿部さんが演奏する唯一の場でもある池袋のジャズ喫茶)だったらベッドから飛び出しちゃってさ、ギューッと地球から飛び出て、どっか宇宙の果ての果てのもう宇宙がないって所までさ、その先までブッ飛んでくっていうようなそういうスピード。あと俺が出したいのは音じゃなくて、「静けさ」っていうんでもないけど、少なくとも音は出したくなくて。音出ているうちはまだまだ駄目だと思うんだよ。なるようにしたいっていうより聞こえなくなんきゃいけないと思うし、聞こえているうちはまだまだ遅い訳だよ。 JazzTokyo から引用

記録的な干ばつがここニューヨークエリアでも : Record drought here in New York area

まず、雨は一向に降らないし雷雲すら消滅してしまう。ま、ニューバーグよりも北は結構な降水とは思うので、ニューバーグから南〜ニューヨーク市に至る、というところでしょうか。

私たちの借りているコミュニティガーデンもカラカラで、ガーデナー皆さんの話にも顕著なのだけど、生育が鈍い、いつにもまして虫にやられる。グランドホグに食い荒らされてしまう。とは言え、わけわからない農薬の類は使わないし、グランドホグ捕獲の罠は仕掛けているけれど、丘の遠くに逃がしてあげるわけなんです。皆、生きるのに必死ですし、皆、大切な命です。

時々覗く、”たまちゃんの暇つぶし” というブログに世界的な異常気象の写真や記事が羅列されているのでシェアしたいと思います。 ここをクリック ーー> タマちゃんの暇つぶし

First, we have almost no rain since July, and even thunderclouds disappear suddenly! Well, I think there’s a lot of rain north of Newburgh, so I guess it’s from Newburgh to the south to New York City area so affected.

The community garden plot we rent is dry, and the gardeners says that the growth is sluggish, more often attacked by insects than usual. It gets devoured by the Groundhog. Even though we don’t want to use obscure pesticides, Yes, we set traps to catch groundhogs, but we let them escape far into the hills. Everyone is desperate to live, and everyone’s life is precious.

Here is a Japanese blogger “Tama-chan no hima-tubushi”, shows the world unusual weather photos.

O氏の治療歴, そして今これから。その25

8月30日、O氏は血液検査の結果『血小板数がかなり低い』ゆえにタクソル・キモセラピーは中止。 先日のMRIで脳の中の腫瘍は完全にフィクスされているものの、腫瘍部の周囲に出血だか何だかの異常が見られる、らしくて、脳の放射線治療ドクターと面談。ドクターは、心配する必要はないです、との見解でホッとするものの、診療看護師は異なった見立てをしている。。

猛暑の8月もじきに終わる。カレンダーをめくりながらS君は、ちょっと、、あたしの心が低迷してません?って自問自答している。O氏の治療の事、痛む足のリハビリや、アパート探しもあってちょっと疲れちゃっているかもね。

8月31日。肝臓専門医に再び診察を仰ぐ。末期の肝硬変は間違い無いのか。腹水を手術せずに少しずつ減らしてゆくには? 〜〜〜 素晴らしいお医者様です、明快に説明くださった。まず、これまでの血液検査で肝臓部の数値がいわゆる謎である。(典型的な数値配列であれば、ドンピシャで、これこれの病名が与えられ、よって治療もスタートできるけど)なので、さらなる精密検査のため昨日と同様、O氏はかなりの量の採血を終えたのです。?? S君の疑問 ;”血液検査のためのあらゆる血を集めると、プールどころかとんでもないおびただしい量になるのは間違いない、ちょっとした湖にはなるかもしれない!!例えば下水処理とかでは最終的に再び浄水に還元しているけれど、検査の後のこれらの血液はどこに行くのだろう。。

ところでO氏の腹水についても同様に、その液体の出所が数値からは把握できず、腹水の一部を生検します、とのこと。最悪の場合、、、これまでの化学治療(や、サプリメント含めての化学物質など)による(最近のワクチン接種含めて)肝臓不全(副作用というのが適切かな)の可能性も示唆されてなんとも言えない。心をフラつかせず真ん中にしっかり居よう。

当の本人でもあるO氏は、それより何より、連続してどっさり採血されフラフラなので 大急ぎ 遅いランチをとる。目の前のビルディングの屋上に何故か白旗が翻っていて、いろんな意味での無条件降伏なのかなあ、なんでもいいや。騒がず動じず。

9月2日、O氏の両足の超音波検査、これはひょっとして血栓防止薬の副作用が生じているかも、との診療看護師の依頼を受けて。 やれやれ、ずーーっと抗凝固薬をとっているので血がサラサラどころか出血しやすい状態になっているらしい? なのでO氏の脳内が出血している!!検査の結果で血栓が見当たらなければしばらく抗凝固薬を中止するって。

、O氏自身が 『僕ってモルモットなんだろね』と初めて のたもうた。 人の歴史で、様々な実験や治験が近代以降の西欧型医療を確立させている。けれどいつだって、自然・代替治療 は過小評価されてしまい化学治療が大通りを闊歩している。もっとも、ホリスティック医学がかなり浸透してきているのは事実、患者自らが自然治癒力を取り戻す自己療法、これらもかなりメインストリームに向かっている。もう少し自己療法に連れてゆきたいなあ。

一つだけ嬉しいこと;O氏は先日から朝と晩の2回、まずは5分ずつ足踏みマットを始めている。体温と血流、この二つさえキッチリ糺しておけば間違い無いという確信がある。調子良いって。また、血栓の予防は、生玉ねぎを50g 食すことで、血液がサラサラになり免疫力も戻るって。なのでこれも取り入れました。みじん切り玉ねぎをグリーンサラダにまぶしたり、今度はクリームチーズと和えてみるかな。

〜〜〜 続く

とても大切な二人 、 再び8月27日/ 2022

捻じ曲がってどこから手をつければ良いのやら、”私” という有様、その真実の集大成の解明の旅を無意識に促してくださった 唯一無二の恩人である Y. N. さん。和歌・短歌・現代詩・仏教教義・ジャズ・前衛・藝術に造詣深く、類まれな誠実な人。私の全生涯でこれほどに謙虚な人を私は知らない。

Y.N. さんのお気に入りの詩人、谷川俊太郎 『62のソネット』から#62

世界が私を愛してくれるので
(むごい仕方でまた時にやさしい仕方で)
私はいつまでも孤りでいられる

私に始めてひとりのひとが与えられた時にも
私はただ世界の物音ばかりを聴いていた
私には単純な悲しみと喜びだけが明らかだ
私はいつも世界のものだから

空に樹にひとに
私は自らを投げかける
やがて世界の豊かさそのものとなるために

……私はひとを呼ぶ
すると世界がふり向く
そして私がいなくなる

〜〜 こちらは同じく8月27日生まれの日本を代表して余りある宮沢賢治。”世界”を通り越して”宇宙”と同等の果てのない概念。おそらくはその前世で類い稀な高僧ではなかったか?そしてどこかY.N. さんと宮沢賢治は私の中で双子のように重なっている。『目にていふ』は、賢治の死後、弟・清六に発見された。『群像』昭和21年10月創刊号より〜〜

だめでせう
  とまりませんな
  がぶがぶ湧いてゐるですからな
  ゆふべからねむらず
  血も出つづけなもんですから
  そこらは青くしんしんとして
  どうも間もなく死にさうです
  けれどもなんといい風でせう
  もう清明が近いので
  もみぢの嫩芽(わかめ)と毛のやうな花に
  秋草のやうな波を立て
  あんなに青ぞらから
  もりあがつて湧くやうに
  きれいな風が来るですな
  あなたは醫学會のお歸りか何かは判りませんが
  黒いフロックコートを召して
  こんなに本気にいろいろ手あてもしていただけば
  これで死んでもまづは文句もありません
  血がでてゐるにかかはらず
  こんなにのんきで苦しくないのは
  魂魄なかばからだをはなれたのですかな
  ただどうも血のために
  それを言へないのがひどいです
  あなたの方から見たら
  ずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
  わたくしから見えるのは
  やつぱりきれいな青ぞらと
  すきとほつた風ばかりです

O氏の治療歴, そして今これから。その24

8月16日、なんとか頑張りましてO氏のキモセラピーは一旦おしまい。翌週のスキャン、その結果でキモを続行するか終了するか、が、決定される。S君にしてみればキモは大概にしてほしい!それどころかずーっと服用している分子標的薬・ローブレナの減量を願っている。両足のくるぶしを中心のむくみはまずくない??むくみ防止の薬と、副作用で浮腫みの出る薬と、キモだ何だに拠る血栓予防の薬、、、O氏の左上腕には、この三回連続のキモセラピーによる副作用防止のため、お馴染のペグフィルグラスティム (損なわれた白血球を化学物質で取り戻す)の注射針設置の箱がくっついている。正確に翌日の午後6時半になると針が発動し(立ち上がり)自動ショットが なされる。

〜〜 さて、22日のスキャンとMRIの結果、頭の中は全く問題無し。がん細胞は相も変わらずそのままステイブルである、ちょっとは縮んだものも。肝臓の腫瘍はかなり落ち着いてはいるけれども ’肝硬変’ の疑い濃厚、数値が再び跳ね上がってしまっている。ってなわけですので肝臓専門の先生のアポも取ることやら、もう少しキモセラピー(タクソル)を続けましょう、とのお達し。来週からまた、3週連続のタクソル化学治療ですね。O氏のポヤポヤ頭は元々がウエービーヘアなので、見た目はキューピー人形のように可愛らしい。

。。。。

先日出かけたスタンフォードでは、どでかい一軒家と(部屋数が多くて覚えきれない’ 笑)周囲ぐるりの庭付きで1200ドルという家賃。破格値といえばそうなのでしょう、。airB&Bでも合宿所でもアーティストの貸しスタジオでも、何でもビジネスは可能だろうね、もしここを終の棲み家に決めるなら。

被さってくる樹々、山の頂の高さで林が連なっている。くねくね柔らかなカーブの道路沿いに牧場が現れる、それでもなかなかたどり着かない。、、、、、遠すぎる。ニューヨークには車で4時間はかかるだろうし、冬は雪の中だろうなあ。じっくり落ち着いて小説とかエッセイとかを書くには最高かしら、、ご縁なさそう。

ロケーションとか広さ、などで探すと大抵のニューヨーク物件は家賃が2000ドルより上、っていうことは日本円で換算すると約30万円の家賃?!随分昔に初めて来た頃は確か平均で4〜500ドル内外で大抵の場所やスタジオ、は借りられたっけ。日本のレントより随分安いんじゃない?って驚いたよね。今は、例えばS君たちの住む郊外・ニューバーグで(ニューヨークまで車、電車、バスいずれも片道1時間半かもっと)それでも日本円換算の20万近い家賃を払っているわけ。しかも、『え〜!安いね〜!』って言われることがしばしば。どうしたって絶対に変じゃない?

大家さんのご都合で、S君O氏の住む建物は売りに出されていた(!)。ニューヨーク市内はどちらかといえば店子擁護法律かな(なので、店子の立ち退きが生じても解決するのは時間がかかる)、なんとなく郊外は、大家さん擁護の法律のように感じられる。『予期せぬ引越し』という機運。きっと知らない間に次に運ばれるための用意ができていたのかな。じゃあ安心して良い物件が転がってくるのを待ったほうがいいね。 〜〜〜〜 続く

Stamford, NY. etc : スタンフォード、あれこれ

キャッツキルの山間にはウッドストックやスタンフォードなど、いくつか楽しい小さな町がある。お友達がフリーマーケットに参加するということもあって、ニューバーグから車で2時間のスタンフォードに出かけた。

In the mountains of the Catskills, there are some fun little towns. Woodstock, Stanford, etc. Our friends were going to participate in the flea market, so we went to Stanford, which is a two-hour drive from Newburgh.

借りているコミュニティーガーデンには主に水やりに出かけねばならない。ナスターシアムは枯れかけていた。3種類のトマトはこれから、というわけで今日の収穫はこちらです。

We must go out to the Community Garden mainly for watering. Nasturtium is dying. 3 kinds of tomatoes are just growing, so today’s harvest is here.