O氏の治療歴, そして今これから。その6

2020年11月、キモセラピーも、ましてやイミュノセラピー・免疫治療もO氏にはご法度、となるからには残された選択はさらに狭まってくる。致し方ない、、すでにO氏の身体状況は弱ってきているし、そのような状況で全身の細胞を善悪いずれもやっつけてしまうキモなどは、とてもでないが受けてはいけない。

新しい治療法!とみに脚光を浴びているターゲットセラピー。それまでも聞いてはいたものの、実際のところ具体的にはその意味するところを解っていなかったS君は、大至急調べをつける。”分子標的治療(薬)”、(身体内の特定のがん細胞・がん遺伝子から作られるタンパク質などを標的として、がんの増殖を阻止したり、ガンの成長を制御する治療法)この方法だと、普通の正常な細胞はそっくりそのままの状態でいられるので、身体への負担が限りなく減少される。

そこで処方されたのが ”アレセンサ”。なんだか可愛らしい子供のような名前だけれど、強力な抗がん剤。まずはこのターゲットセラピーが始まる。150mgの錠剤を朝晩二つずつ2回に分けて飲む。ということはどうにもかなりの量になってしまう(毎日150x(2+2)=600ミリグラム)。ところが服用初日の11月26日から日も浅いうち、O氏の身体にどう見ても副作用としか形容できない障害が発生;呼吸困難、咳、全身のかゆみや極度の疲れ、何よりも毎晩、シーツから寝巻きから何から何まで取り替えねばならない大量の寝汗!絞るほど!! 何故なのか、O氏は普通であれば即、知らせるべき副作用の発症を主治医と診療看護師にひた隠す。一刻も早く伝えるべきなのに、S君が連絡しようものなら怒るんだね。『自分は癌なのだから副作用が出てもしょうがない、これしか治療法がないのだから止める訳にはいかない』と妙に悟ったようなことを言うのだけれど。

でも、これこれの副作用が現れたら即刻中止、かかりつけの医師に連絡すること!と大きく注意書きされているんです。

待った無し。ひどい副作用をS君が訴えたことも誘引か、その場でスキャンを取りその結果、(又しても)”非感染性肺炎”が発覚。案の定、主治医の一言でアレセンサの服用はストップ。ステロイド治療を2021年の1月いっぱい続行。これが新年の1月5日のこと。

〜〜〜続く