O氏の治療歴, そして今これから。その4

ニューバーグ に移って二人が嬉しかったのは、地形がハドソン川に向かってなだらかなスロープになっており、歩き回れる規模の街だったこと。木々、植物も豊富に生えている。さすがビスビーの時のように人里離れていることもなく、二人の落ち着き先のストリートはアフロアメリカン・ジャマイカン・メキシカン・ドミニカンの陽気な波動に満ちている。うるさいこともあるけど、袖触れ合うも他生の縁。いや、縁どころか、S君の過去生でご縁のあった方かも知れないではないか?!

O氏の治療そのものは、主治医も診療看護師もニューヨーク大学病院も何もかもがスムーズで、束の間の平安。。。なんたることか、2019年の暮れ、こちらでの大きなホリディシーズンを前にS君は買い物の途中で滑る。下り坂道の真ん中で突然S君はひっくり返る。坂道が凍っていたのは十分わかっていたつもり、まさか滑るなんて!しかも咄嗟に頭をかばったため右手首がストッパーになり、ねじくれての骨折ですよー。救急外来で処置していただいたものの、クリスマスやら新年を前の大きなホリディシーズンゆえに、手術まで1週間待たされた。

O氏もS君も、それぞれの治療やら何やらで仲良くニューヨークに行ったり来たり。幸い、長距離バスが走っており難なく往復できていた。それは一連のコロナパンデミック前のこと。

2020年の春。コロナの深刻な流行で長距離バスは運休の運び。車を手放している二人には少々頭が痛い。その頃にはS君の右手首はかなり動かせるようになっていたし、フィジカルセラピーも終了して、大家さんの庭作りを手伝ったり植物を植えたり世話したり、忙しく充実していた。

O氏もバス運休のため、すでにこちらニューバーグの腫瘍医・オンコロジストに変えてもらっており、継続してキモとイミュノセラピーを受けていた、が、定期的なスキャンとMRIの結果、肺が白く変色していた(グレイゾーン!)。その頃には、少しはバスも復活しており急遽、本来のニューヨーク大学病院 に直行!!主治医と診療看護師の懸念は、1、コロナ肺 (コロナに罹患したための肺の炎症) 2、免疫セラピーの重篤な副作用で肺が炎症を起こしている、

ことに、癌患者が弱っている免疫力を薬に依って高めるため、このような療法が施されるのであるけれども、免疫力が高まりすぎて本人の細胞や各臓器を攻撃してしまう、いわゆる自己免疫疾患になってしまったらしい。

慎重な検査の結果、O氏の肺は、免疫治療の副作用で肺炎を引き起こしているそうで、故に今後一切のイミュノセラピー(キトルーダ)もキモセラピー(アリムタ)もストップ。真っ先に肺炎の治療、ということで抗生物質投与になった。また、肺に血栓が発生していたので、即、抗血栓剤 も服用することになった、抗血栓剤 には二つの異なった種類が用途別にある。O氏に処方された薬は抗凝固薬の ”エリキュイス” (毎日朝晩1錠ずつなので5mg x 2=10ミリグラム)、今に至るもずっと服薬している。これらはすべて2020年6月半ばのこと。

〜〜〜続く